ハレとケ

祭りや年中行事、冠婚葬祭などの非日常を「ハレ(晴)の日」、それ以外の日常を「ケ(褻)の日」といいました。ハレの日には、食べものや着るものも普段とは違う特別なものにし、メリハリがつけられました。お正月や成人式に着る着物のことを「晴れ着」というのはこのためです。

祝いの席に欠かせないお赤飯や尾頭付きの魚、お酒などもハレの料理です。さらに場所としての空間には神社や寺院などの固定された空間のほか、たとえば花見などで紅白幕を張れば、そこはたちまちハレの空間となります。

ハレとケに関わるしきたり

「ハレ」の使われ方

  • 結婚式などに招待されたときのあいさつなど
    「晴れの席にお招きいただき、ありがとうございます」
  • 成人式など人生の節目で
    「晴れの日を迎えるみなさま、おめでとうございます」
  • 晴れ着
  • 晴れの日のごちそう
  • 晴れ姿

「ケ」の語源

ケ(褻)とは「普段着の肌着」を意味する言葉で、明治までは普段に着る服を「褻着けぎ」といいました。また、病気やケガなどでケの生活がうまくいかなくなることをケが枯れる「気枯けがれ」といいました。

気枯けがれ」を祓う行事

普段の日常生活を「ケの日」と呼び、ぜいたくや遊びをつつしみ、農作業などの仕事に励みますが、病気やケガなどで「ケ」の生活に問題が生じることを「気枯れ」といいました。
このケガレを取り除く方法にお祓いがあり、ケガレを祓うことで「ハレ」になると考えられていました。また、神社を参拝することでもケガレを落とし、身を清められるとされていました。

流しびな

流し雛女の子の節句としての「上巳の節句(ひな祭り)」のお祝いも、かつてはケガレを祓う行事がルーツといわれます。
自分の身代わりの人形ひとがたにケガレや災いを移し、川や海に流しました。これが流しびなの起源といわれています。

茅の輪くぐり

茅の輪くぐり

人の身体にたまった不浄を茅の輪をくぐって取り除きます。
年に2回、6月30日に「夏越の祓」、12月31日に「年越しの祓え」が行なわれます。

厄年とは

厄年とは、数え年で男性の25歳、42歳、61歳、女性の19歳、33歳、37歳になる1年間のことで、その前後の1年間を「前厄」「後厄」としてそれぞれ注意が必要な時期としています。なかでも男性の42歳は「死に」、女性の33歳は「さんざん」という語呂合わせから「大厄」と呼び、特に注意する年齢といわれています。

災厄が起こりやすく縁起のよくない年齢とされる厄年ですが、もともとは陰陽道の考えとして中国から伝わり、貴族や武士の間で広まりました。それが江戸時代以降に庶民の間にも広まっていったといわれます。厄年には神社やお寺で厄除け祈願やお祓いをしてもらう風習は、現在でも行なわれています。ちなみに厄を除くために祈願することを神社では「厄払い」、お寺では「厄除け」と呼ばれています。

厄払い・厄除けの祈祷

厄年の祈祷は立春(2月4日頃)までに済ませるとよいとされています。
※時期は地域により異なる場合もあります