
おもな神事と仏事
日本には、神道と仏教の影響を受けたさまざまな神事と仏事があります。それぞれの行事には、豊作祈願、厄除け、ご先祖様への感謝などの意味が込められ、古くから人々の生活の一部として受け継がれてきました。
神道と仏教の関係
古代から日本には自然信仰が根付いており、神道として発展しました。一方、仏教が伝来すると、両者は対立することなく共存し、多くの神社の境内にお寺が建てられたり、逆に寺院内に神社が併設されたりするなど、融合が進みました。
江戸時代の中期から後期にかけて、現在の形に近い習慣が確立され、神道と仏教のしきたりが私たちの生活に深く根付いていきました。
しきたりと神仏
日本の伝統行事は、神道と仏教の影響を受けています。
- お正月 … 歳神様を迎える神事
- 節分 … 福の神を呼び込む行事
- お盆・彼岸 … 先祖を供養し、感謝する仏事
- 七五三・結婚式 … 健康や幸福を祈る神事
お正月には歳神様をお迎えし、節分では福の神を呼び込み、お盆や、春のお彼岸・秋のお彼岸でご先祖様を弔い感謝する。
これらの年中行事も、人生の節目を祝い、健康長寿や幸運などを祈る七五三や結婚式などの通過儀礼も、神様や仏様の存在なくしてはありえません。このように、人々が古くから守り受け継いできたしきたりの中にはいつも、神様・仏様がいるのです。
このように、私たちが日々受け継いできたしきたりの背景には、神様や仏様への信仰が深く関わっています。
神様・仏様としきたりの関係
農耕と自然が生んだ自然信仰としきたり
日本は豊かな自然と美しい四季に恵まれ、古来より稲作を中心とした農耕文化が発展してきました。そのため、自然の中に神様が宿ると考えられ、豊作や災害回避を祈願する信仰が生まれました。
農作物の恵みをもたらす太陽や雨、風などの自然現象に神聖な力を見出し、感謝と祈りを捧げる風習が、今日の神事として形を変えながら受け継がれています。
しきたりの中にいる神様と仏様
仏教が中国から伝来すると、日本の神道と融合し、独自の宗教観が形成されました。神社では「生」に関する祈りを、寺院では「死」に関する供養を担うようになり、生活の中に自然と両者が根付いていきました。たとえば、
- 神道(神事) … 安産祈願、お宮参り、厄払い、豊作祈願
- 仏教(仏事) … お盆、お彼岸、葬儀、先祖供養
といった形で、異なる役割を持つようになりました。
日本の神様と仏様
生活に関わる神様
- 農耕の神 … 田の神、稲荷神など
- 漁業の神 … 恵比寿神、海神など
- 商業の神 … 大黒天、恵比寿神など
仏様の種類
- 如来(にょらい) … 仏の最高位。釈迦如来、阿弥陀如来など。
- 菩薩(ぼさつ) … 修行中の仏。観音菩薩、地蔵菩薩など。
- 明王(みょうおう) … 怒りの表情を持つ仏。大日如来の化身とされる。
自然の神様
- 日神(ひのかみ) … 天照大神(あまてらすおおみかみ)
- 月神(つきのかみ) … 月読命(つくよみのみこと)
- 風神(かぜのかみ) … 風神、志那都比古神(しなつひこのかみ)
日本にはこのように、神道と仏教が共存し、それぞれが人々の暮らしを支えてきました。今でも神社やお寺の行事は多くの人に親しまれ、しきたりとして受け継がれています。