ハレとケの意味
祭りや年中行事、冠婚葬祭などの非日常を「ハレ(晴)の日」、それ以外の日常を「ケ(褻)の日」といいました。ハレの日には、食べものや着るものも普段とは違う特別なものにし、メリハリがつけられました。
- ハレ(晴れ):祭りや儀式、節目など、非日常の特別な日。祝いごと、神事、正装、豪華な食事が伴います。
- ケ(褻):日常の生活。仕事・家事・質素な食事など、毎日繰り返される営み。
この二つは対立ではなく、交互に現れて生活にリズムを与えるものです。
「ケ」の暮らしの中に「ハレ」が訪れることで、人は心身を整え、日常を再開する活力を得てきました。
ハレの例・ケの例
ハレの日の行事(年中行事・通過儀礼)
ケの日の営み(日常生活・質素な暮らし)
ケの日は、質素・継続的・繰り返される日常の営みを指し、身体と心を整える基盤となります。ケ(褻)とは「普段着の肌着」を意味する言葉で、明治までは普段に着る服を「褻着」といいました。
- 毎日の炊事、掃除、労働
- 粗食や普段着
- 日常の信仰(神棚や仏壇への祈り)
- 慣れた人間関係の中での暮らし
なぜ「ハレとケ」という考え方が生まれたのか
古代の日本では、自然とともに生きる暮らしの中で、季節や節目を大切にする感覚が培われてきました。
日々の労働(ケ)の中にこそ、神様への感謝や祈りの時間(ハレ)を設け、生活に区切りと再生のリズムをもたせたのです。
この感覚は、農村社会を中心に形成され、冠婚葬祭や年中行事、食文化に至るまで、深く根づいています。
ケガレの概念
「ハレ」と「ケ」に加え、もうひとつの重要な概念が「ケガレ(穢れ)」です。
病気やケガなどでケの生活がうまくいかなくなることをケが枯れる「気枯れ」といいました。
- 人が死にふれる(葬儀)、病気になる、事故に遭うなどによって「ケ(常態)」が乱れた状態。
- 穢れを祓うために、「ハレの行事」で心身を清め、日常に戻す。
このように、ハレとケは単なる対義語ではなく、「浄化と再生」を繰り返す循環の思想でもあります。
「気枯れ」を祓う行事
普段の日常生活を「ケの日」と呼び、ぜいたくや遊びをつつしみ、農作業などの仕事に励みますが、病気やケガなどで「ケ」の生活に問題が生じることを「気枯れ」といいました。
このケガレを取り除く方法にお祓いがあり、ケガレを祓うことで「ハレ」になると考えられていました。また、神社を参拝することでもケガレを落とし、身を清められるとされていました。
流しびな
女の子の節句としての「上巳の節句(ひな祭り)」のお祝いも、かつてはケガレを祓う行事がルーツといわれます。
自分の身代わりの人形にケガレや災いを移し、川や海に流しました。これが流しびなの起源といわれています。
茅の輪くぐり
厄年とは
厄年とは、数え年で男性の25歳、42歳、61歳、女性の19歳、33歳、37歳になる1年間のことで、その前後の1年間を「前厄」「後厄」としてそれぞれ注意が必要な時期としています。なかでも男性の42歳は「死に」、女性の33歳は「さんざん」という語呂合わせから「大厄」と呼び、特に注意する年齢といわれています。
災厄が起こりやすく縁起のよくない年齢とされる厄年ですが、もともとは陰陽道の考えとして中国から伝わり、貴族や武士の間で広まりました。それが江戸時代以降に庶民の間にも広まっていったといわれます。厄年には神社やお寺で厄除け祈願やお祓いをしてもらう風習は、現在でも行なわれています。ちなみに厄を除くために祈願することを神社では「厄払い」、お寺では「厄除け」と呼ばれています。
厄払い・厄除けの祈祷
厄年の祈祷は立春(2月4日頃)までに済ませるとよいとされています。
※時期は地域により異なる場合もあります
年の厄年一覧 男性の厄年 年齢一覧 前厄 本厄 後厄 年齢は満年齢を表示しています。 女性の厄年 年齢一覧 前厄 本厄 後厄 年齢は満年齢を表示しています。 あなたの厄年はいつ?厄年計算シミュレータ 生まれた年を選択: …
現代におけるハレとケの感覚
現代でも、ハレとケの感覚は生活に残っています。
- 仕事の合間にある「休日」や「連休」=ハレ
- おしゃれをして出かける日=ハレ
- 冠婚葬祭・年末年始・お盆=ハレ
- 普段の生活、日常食、通勤・通学=ケ
忙しい日常を過ごす中で、あえて「ハレの時間」を設けることは、心のリズムを整えるうえでも大切なことです。
「ハレ」の言葉・使い方
ハレの言葉は、人生の節目やお祝いの場面で使われます。ハレの日にふさわしい言葉や装い、料理などの習わしがいまも根づいています。
- 結婚式などに招待されたときのあいさつなど
「晴れの席にお招きいただき、ありがとうございます」 - 成人式など人生の節目で
「晴れの日を迎えるみなさま、おめでとうございます」 - 晴れ着
- 晴れの日のごちそう
- 晴れ姿
- 晴れ晴れ
ハレとケは、日常と非日常をつなぐ日本の伝統的な暮らしのリズムです。
このバランスを意識することで、心身の調和と豊かな生活を育むことができます。






