年越しそば:由来と意味

年越しそばとは?簡単に

  • 年越しそばとは、大晦日にそばを食べて新年を迎える習慣のこと
  • 三十日みそかそば」「つごもりそば」ともいう

年越しそばの歴史

  • 鎌倉時代に博多の承天寺で、年の瀬を越せない人々にそば餅を配った。すると翌年から人々に運が向いてきたため「運気そば」「福そば」と呼ばれはじめ、大晦日にそばを食べる習慣がうまれた
  • 江戸時代に商家で商売繁盛を祈りながら、毎月の区切りとして「晦日みそかそば」を食べていた風習が広まった

全国的に広まったのは比較的最近のことで、昭和40年代ごろからといわれている

年越しそばはいつ食べる?

特に決まりはなく、31日中ならいつ食べてもよい。夕食に食べる人や、「年越し」ということから夜10~11時過ぎに紅白を見ながら食べる人も多い。

※地域によって、元旦や小正月前日に食べることもある

なぜそばなのか?

以下のようなゲン担ぎの意味合いがこめられている。

  • そばのように細く長く元気に暮らせることを願って(長寿祈願)
  • 一年の災厄を断ち切る(そばが切れやすいことから)「縁切りそば」「年切りそば」「勘定そば」とも呼ばれる
  • 金細工師が飛び散った金粉をそば粉を丸めて集めたことから「金を集める」縁起物となったという説もある

そばの魅力

栄養満点のそば

「そばは七十五日」といように、種まきから収穫までの期間が短く、やせた土地でも育ちやすいそば。昔は飢饉に備える貴重な作物だった。良質のタンパク質や若さを維持するビタミンB、生活習慣病を予防するルチンやコリンなどの栄養素も豊富に含まれる。

そばは五色の食べ物

五色とは、葉の緑、茎の赤、花の白、実の黒、根の黄のことで、陰陽五行説の思想が元になっている。一株の中にこの五色を備えている植物は珍しく、そばは昔から縁起のよい食べ物だった。

日本独自の食べ方を楽しめる

そばは世界各地で栽培され食べられているが、せいろやかけそば、年越しそばなどの普段食べている細長い形状のそばは、「そば切り」といって日本独自の食べ方である。

おいしいそばの条件「四たて」

昔から、挽きたて、打ちたて、ゆでたての「三たて」がおいしいそばの条件といわれているが、現在は鮮度にこだわり、採れたてを加えて「四たて」が重要といわれている。

そばとつなぎ

そば粉だけでは切れやすいため、通常「つなぎ」を加えて打つ。つなぎには小麦粉(中力粉)を使うのが一般的だが、やまいもや卵を使うこともある。そば粉の割合が多いほど切れやすくなるが、そば香りはその分増す。「二八そば」「七三そば」とは、そば粉とつなぎの割合を表し、「十割そば」は、そば粉だけで打つそばのこと。