注連縄

注連縄とは?

注連縄しめなわは、神道における神祭具で、神聖な場所とその外を区分するしめです。神域など神聖な場所を限って不浄悪穢の侵入を防ぐ縄で、標縄、七五三縄とも書きます。

注連縄は、神社の鳥居や村境に張られましたが、家庭では正月飾りとして門や神棚、かまど、井戸、蔵など実にさまざまな場所に儀式として掛けます。

注連縄の由来は、天照大神が天の岩戸から出た際に、再び天の岩戸に入らないようしめ縄で戸を塞いだという日本神話にあるとされ、「しめ」には神様の占める場所という意味があるといわれています。

注連縄を張る意味

注連縄を張る意味は、神聖な場所と不浄な外界の境界線を設け、外からの不浄な物が神前や神聖な区域に触れないようにすることです。神様がいらっしゃる神聖な領域である「常世とこよ」と、私たちの住む世界である「現世うつしよ」を分ける印を意味します。

注連縄には、神様が宿るご神体をお守りする意味もあります。また、正月のしめ飾りは、家の中を神聖な場所に整え、歳神様に気づいてもらうための目印などの役割があります。

注連縄には、前垂れ注連縄、牛蒡注連縄、大根注連縄などいくつかの種類があります。縄の途中には藁の房で作られた「〆の子」や、紙を特殊な断ち方で折った「紙垂しで」が取り付けられています。

注連縄は、神社だけでなく、木や岩などにも張られ、その場所は神が宿る神聖な場所で、神域と現世を隔てる境界・結界であり、厄や禍を祓ったりする役割があると言われています。

注連縄を飾る場所

しめ縄は、玄関や神棚に飾るのが一般的です。

しめ縄は、歳神様が玄関から入ってこられるように、玄関先の軒下や玄関ドアに飾るとよいとされています。しめ縄の下をくぐって神域に入るという考え方から、玄関など家の入口の少し高い位置に飾るとよいでしょう。マンションなどでドアの外に飾ることができない場合は内側でも大丈夫です。

しめ縄は、年神様が降りてくるにふさわしい清浄な場所であることを示し、結界、魔除けにもなると言われています。

また、しめ縄は、神棚や床の間、台所の「かまどの神」「井戸神」、トイレの「厠の神」にも飾ったり地域や風習によってさまざまです。

注連縄を飾るタイミング

しめ縄は、12月中に飾りつけ、「松の内」の最終日に外します。松の内とは、1月1日から1月7日まで(地域によっては1月15日まで)をいい、新年を司る年神様が家に居る期間とされています。

地域によって松の内の終わりの時期が異なり、関東や東北、九州地方などは1月7日まで、関西地方は1月15日(小正月)までとする場合が多いです。

注連縄は毎年新しいものに変えるべきか?

しめ縄は、歳神様をお迎えするための神事物であり、同じものを使い回すと神様の失礼にあたるとされています。毎年、新しいお正月飾りを用意して、飾りましょう。

神棚のしめ縄は、年末の大掃除のタイミングで新しいものと交換し、そのまま1年間飾るのが一般的です。

注連縄の処分方法

年末玄関に飾った注連縄は、年明けの小正月の行事であるどんど焼きや左義長で燃やします。
近隣に神社がないなどの理由で、どんど焼きでのお焚き上げが難しい場合は、自治体のルールにしたがって自分で処分しても問題はございません。その際は、しめ縄に塩を振ってお清めしてから処分するようにしましょう。

しめ縄を処分する際は、どんど焼きや返納、一般ごみとして処分するまではお清めをして白い紙などに包んでおくと良いでしょう。

注連縄の由来

しめ縄の「注連」という言葉は、中国にあった「注連」という風習に由来しています。中国では、死んだ人が再び家に入ってくることがないよう、家の入口に水で清めた縄を連ねて張るという風習がありました。日本にも似た風習として「勧請縄」があり、村の境目や出入り口に吊るして悪霊や疫病が入らないようにしていました。

しめ縄は、刈り取った新しい稲わらやかやを使って作られます。農耕民族にとって、米の収穫は自然の恩恵、つまり「神」のご加護によってなしえたことであり、藁にはその場所やものを清める意味合いがあるとされています。

注連縄の作り方

注連縄には、和紙の紙垂しでや稲わらや麻のたれを下げ、神域を表します。

注連縄の素材には、稲わらや麻などの神聖な植物を使います

日常に使われる縄は、「右なえ」といい、右手を上に左手を下にしてっていきますが、神事などにする縄は「左綯」といい、左手を上に右手を下にして綯います。
これは、陰陽道の左=陽=上、右=陰=下の法則をもとにしています。

また、注連縄の綯えはじめの「元」を神棚から見て左に、右側には綯え終わりの「末」が来るようにします。これは、左=始め=陽、右=終わり=陰という陰陽道の法則にのっとっています。
この注連縄の貼り方を「入船」といい、福が入ってくる縁起のいい張り方とされています。