上棟式

上棟式とは?簡単に

  • 上棟式じょうとうしきとは、家の竣工しゅんこう後の安全を願って行なわれる儀式
  • 家の建築工事が無事に進んで完成が間近であることを土地の神様に報告と感謝をする
  • 柱や梁などの骨組みが完成し、屋根を支える「棟木むねぎ」を上げるときに行なうことから「上棟式」と呼ぶ
上棟式の儀式
上棟式のお供え

上棟式で大切にされてきた「振る舞い」の精神

古くから上棟式には、厄払いの意味を込めて赤飯を配ったり、屋根の上から餅やお菓子、おひねりをまく「餅まき」が行われてきました。

これには、「家主が周囲に施しをすればするほど、その家が長く栄える」という考え方があります。地域の人々に喜びを分かち合うことで、新しい土地での円満な人間関係を築く第一歩でもありました。

吹き流し
お多福

家の守り神を迎える「上棟飾り」としきたり

上棟式は、単なる建築工程の節目ではなく、建物に「魂」を吹き込み、末永く家を守ってくれる神様をお迎えする神聖な儀式です。ここでは、古くから伝わる代表的なしきたりをご紹介します。

守護のシンボル「上棟飾り(幣束)」

屋根の一番高い場所に立てられる豪華な飾りを「上棟飾り(じょうとうかざり)」や「幣束(へいそく)」と呼びます。

現代では屋根の上に飾られた幣束を見る機会は減っていますが、「自然の恵みである木材に感謝し、職人の技を尊び、家族の安寧を願う」という日本人の心根は、この儀式の中に脈々と受け継がれています。

上棟飾り(幣束)

家の家系図「棟札(むなふだ)」

棟札は、建物の建築記録を記した木の札のことで、建築年月日、施主の名前、設計者・施工者の名前、そして家内安全を願う祈願文などが記されます。

儀式が終わった後、天井裏の棟木(むなぎ)に取り付けられます。
家が完成すると見えなくなりますが、「家が存続する限り、家族を見守り続ける」という非常に重要な役割を持っています。

棟札(むなふだ)

火伏せの願い「水」の紋章

木造建築にとって最大の敵は「火事」でした。そのため、上棟式では「水」にまつわる意匠が取り入れられることがあります。

天高く掲げられる「五色旗(ごしきばた・ごしきき)」は、万物を構成する木・火・土・金・水の五行説を象徴したもので、世界の調和を保つとともに、荒ぶる「火」を「水」が鎮めるという理(ことわり)が込められています。

五色旗

家の魂ともいえる棟札の裏には、墨々と「水」の文字が書き込まれることもあります。
これは「火伏せ」のまじないと呼ばれ、完成した後は天井裏に隠れて見えなくなりますが、火災から家を守り抜くという切実な祈りが、その一文字に託されているのです。

【文化の深掘り】なぜ「餅」をまくのか?

上棟式といえば「餅まき(散餅銭の儀)」を思い浮かべる方も多いでしょう。これには二つの深い意味が込められています。

紅白餅

厄を分かち合う
大きな家を建てることは、それだけ大きな「福」を得ることですが、同時に周囲からの嫉妬や災いを招きやすいと考えられました。そこで、餅やお金を配ることで、厄を分散させて落とすという意味があります。

富の還元
地域の共同体に対し、富を分け与えることで、新しい土地での暮らしが円滑に進むようにという願いが込められています。

最近の上棟式のスタイル

時代の変化とともに、上棟式のスタイルも多様化しています。
本来は神主や住職を招いて行ないますが、近年では簡略化され、棟梁とうりょうが中心となって進行を務め、施主と一緒に四隅を清める形が一般的です。

上棟式は現代では必ずしも行わなければならないものではありません。しかし、現場で働く職人さんたちと顔を合わせ、直接「よろしくお願いします」と伝えられる貴重な機会として選ぶ方が多いです。

【実践編】上棟式の流れ

上棟式に「何をすればいいか分からない」という方のために、準備のポイントをまとめました。

準備するもの

  • 御祝儀: 棟梁や職人さんへ感謝を込めて
  • 手土産: お酒、お菓子、お弁当など
  • お供え物: 洗い米、塩、お酒(清め用)

誰を呼ぶ?

基本的には、施主家族、ハウスメーカーの担当者、現場監督、職人さんたちで行います。

当日の流れ(略式の場合)

  1. 四隅を清める: 建物の四方に酒・塩・米をまきます。
  2. 施主挨拶: 工事への感謝と今後の願いを伝えます。
  3. 乾杯・直会(なおらい): 軽食をとりながら職人さんと親睦を深めます。

上棟式の御祝儀の相場

渡す相手相場の目安備考
棟梁(とうりょう)10,000円 〜 30,000円大工さんのリーダーです
現場監督5,000円 〜 10,000円全体の進行役です
職人さん(各員)3,000円 〜 5,000円当日作業する大工さんなど
応援・その他2,000円 〜 3,000円警備員さんやクレーン運転手など
ご祝儀のワンポイント・マナー

のし袋は紅白の「蝶結び」のものを選びましょう。表書きは上段に「御祝儀」または「御祝」、下段に施主の「苗字」を書きます。

当日の「服装」と「マナー」

服装は、正装である必要はありません。ただし、建築中の現場に入るため、動きやすく、汚れても良い清潔感のある服(スニーカーなど)がベストです。

骨組みに影響がない程度の雨なら決行されますが、安全を考慮して延期する場合もあります。前日にハウスメーカーと相談しておきましょう。

【カンペ用】当日の挨拶例文

本日はお忙しい中、私たちの家の上棟にお集まりいただき、誠にありがとうございます。

朝から職人の皆様の手際よい作業を拝見し、あっという間に家の形が出来上がっていく様子に、家族一同大変感激しております。

これから完成に向けて、工事はまだまだ続きます。どうかお怪我や体調に気をつけて、安全第一で進めていただけますと幸いです。

ささやかではございますが、御祝儀とお土産を用意いたしました。本日はどうぞよろしくお願いいたします。