だるま

だるまとは?

だるま(達磨)は、インドから中国に渡り禅宗を確立した達磨大師の坐禅姿を模した日本の置物です。倒れてもひとりでに起き上がる「七転八起」の姿から、どんな願いも叶えてくれる縁起物として親しまれています。

仏教用語としては「真理」「規範」などの意味を持ちますが、一般的には魔除けや病除け、商売繁盛、合格祈願、安産など、あらゆる目標達成の守り神として愛されています。

だるまの起源と歴史

だるまは、室町時代に禅の普及とともに広く知られるようになり、江戸時代に「起き上がりこぼし」のモチーフとなりました。そのルーツは、中国の明時代(1368~1644年)に発明された、張り子(木の型に和紙などを貼り付けて成形する技法)の人形にあるといわれています。

イヤリングをしているだるま図

だるま図のなかには、リング状のイヤリングのような耳飾りをしているものやピアスをしているものあります。耳飾りをしているだるま図はまだ修行中のだるま、耳飾りのないだるま図は悟りを開いたあとのだるまともいわれています。

【実用編】だるまの「目入れ」正しい作法

だるまに目を書き入れる「目入れ」には、物事の始まりから終わりまでを見届けるという意味が込められています。

  1. 最初は「左目」から
    だるまの左目(向かって右)に黒目を描き入れながら、心の中で願い事を唱えます。
    これは、だるまの目が「阿吽(あうん)」を表しており、左目の「阿(あ)」が物事の始まりを指すためです。
  2. 成就したら「右目」を
    願いが叶ったとき、または一年を無事に過ごせた感謝を込めて、右目(向かって左)に黒目を書き入れます。これが「吽(うん)」、つまり物事の結びとなります。
だるまの目入れ
「目入れ」のお寺による違い

本家の少林山達磨寺のように、願掛けの段階で左目、成就で右目という作法を基本としつつも、地域や信仰によって白目のまま祀る方法もあります。
大切なのは、だるまと対話するように心を通わせることです。

どこに置く?だるまの飾り方

だるまの飾り方に厳格な決まりはありませんが、神聖な縁起物ですので、目線より高い位置(神棚や家具の上など)に飾るのが理想的です。

  • 魔除けとして
    玄関に向けて飾ると、外からの邪気を払うとされています。この場合、最初から両目が入っただるまを置く習慣もあります。
  • 向き
    方角にこだわる場合は、お札などと同様に「南向き」または「東向き」に置くと良いでしょう。

だるまの「有効期限」と返納のしきたり

だるまの願掛け効果は約一年間といわれ、役目を果たしただるまは寺社に納めて供養(お焚き上げ)をします。
引き続き願い事をする場合は、前年よりも「一回り大きなだるま」を新調するのが古くからの習わしです。これは、願いが一段階大きく進歩するように、という期待が込められています。
合格祈願や安産祈願など、目的が成就した際も、その時点でお礼を兼ねて返納しましょう。

去年のだるまは「どんど焼き」で天へお返しする

役目を終えただるまを納める場所として、最も一般的なのが小正月(1月15日頃)に各地の神社や寺院で行われる「どんど焼き(左義長)」です。

お正月飾りとともに、だるまをお焚き上げの火にくべることで、宿っていた年神様や仏様を天へとお送りします。立ち上る煙とともに、一年の無事を感謝する大切な儀式です。

だるまどんど焼き

だるま返納の際の注意点

  • 「両目」を入れてから納める
    願いが叶わなかった場合でも、一年の守護に感謝して、右目を書き入れて「完成」させた状態で納めるのがマナーです。
  • 不燃物は取り除く
    最近のだるまにはプラスチック製のパーツや鈴が付いていることがあります。お焚き上げの環境配慮のため、取り外してから持ち込みましょう。
  • 神社かお寺かを確認
    だるまは本来、仏教(禅宗)の達磨大師がモデルのため、「お寺」で授かることが多いですが、地域の神社(どんど焼き)でも受け付けてくれる場合があります。事前に「だるまの持ち込みが可能か」を確認しておくと安心です。

新しい一年を共にする「だるま市」の楽しみ

新しいだるまを授かる場所として、古くから親しまれているのが「だるま市」です。役目を終えただるまを感謝とともに返納し、一回り大きな新しいだるまを選び直すこの催しは、冬から春にかけての風物詩となっています。

特に「日本三大だるま市」として知られる、東京都の深大寺(だるま市)、群馬県の少林山(七草だるま市)、静岡県の毘沙門天(だるま市)などは、多くの人で賑わいます。活気あふれる市の中で、自分と「目が合った」と感じるだるまを探すのも、醍醐味のひとつです。

地域の伝統や開催のしきたりを知ると、だるま選びがさらに特別な体験になります。