セーマンドーマン

セーマン・ドーマンとは?海女が守り続ける魔除けの印

セーマン・ドーマン

セーマン・ドーマンは、三重県志摩地方の海女(あま)さんたちが、命懸けの漁に出る際に必ず身につける不思議な印です。
磯着(いそぎ)や手ぬぐい、道具などに紺色の糸で刺繍したり、ヘラ書きしたりして使用されます。

海女漁は常に水圧やサメ、潮の流れといった危険と隣り合わせです。そんな過酷な現場で、海に潜む「魔物(トモカズキなど)」から身を守り、無事に陸へ戻るための切実な祈りが、この二つの印に込められています。

【セーマン】星形(五芒星)が持つ「無事帰還」の意味

五芒星(ごぼうせい)の形をした「セーマン」は、平安時代の天才陰陽師・安倍晴明(あべのせいめい)の判紋に由来します。セーマンは「晴明(せいめい)」が訛ったもの。

  • 「一筆書き」の秘密
    星形は一筆で書くことができ、書き始めと書き終わりが同じ場所になります。
    これが「潜水しても必ず元の場所へ無事に戻ってこられるように」という無事帰還の願いに直結しています。
  • 五行の象徴
    この形は「木・火・土・金・水」の五行のバランスを表しており、宇宙の万物を調和させ、邪気を跳ね返す最強の呪符とされています。

【ドーマン】格子柄(九字)が持つ「鉄壁の守護」の意味

縦5本、横4本の格子模様をした「ドーマン」は、晴明のライバルとされる蘆屋道満(あしやどうまん)の名に由来すると言われています。

  • 「九字(くじ)」の網目
    合計9本の線は、護身の呪文である「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前」の九字を記号化したものです。
  • 魔を見張る多くの「目」
    網目の隙間は「多くの目」を意味し、四方八方から忍び寄る不浄を監視し、追い払う「結界」の役割を果たします。
  • 出入り口の封鎖
    網目状の紋様は、魔物が入り込む隙間を与えない強固な防御を象徴しており、一度入った悪霊を逃さない「籠目(かごめ)」に近い性質も持っています。

安倍晴明と蘆屋道満 – なぜ「宿敵」の名をセットで使うのか

伝説ではライバルとして語られる二人ですが、セーマンとドーマンは常に並べて使われます。
これは、「陽」の力を持つ晴明と、「陰」の力を持つ道満をセットにすることで、陰陽のバランスを完璧に整えるという考えに基づいています。

太極図(陰陽の調和)」の思想が、まさにこの海女の紋様にも息づいているのです。

現代に生きるセーマン・ドーマンのご利益

現在でも、鳥羽・志摩地方の石神さん(神明神社)などは、女性の願いを一つ叶えてくれるパワースポットとして知られ、セーマン・ドーマンが記されたお守りが人気を集めています。

相差(おうさつ)の神明神社
女性の願いを一つ叶えてくれる
  • 魔除け・厄除け:予期せぬ災難から身を守る。
  • 旅行安全:一筆書きの原理から「無事に戻る」お守りに。
  • 勝負運:ライバルに勝ち、困難な状況を切り抜ける。

身につける魔除け – 人気のセーマン・ドーマングッズ

海女さんたちが手ぬぐいや磯着に印を刻んだように、現代でもセーマン・ドーマンをモチーフにしたお守りや雑貨が「強力な魔除けアイテム」として人気です。

単なるデザインではなく、1000年以上の時を超えて受け継がれる「命を守るための記号」。それがセーマン・ドーマンの本質なのです。