「するな」「見るな」「言うな」禁忌のしきたり
日本には古くから、やってはいけない「するな」、覗いてはいけない「見るな」、口にしてはいけない「言うな」という禁忌(タブー)が伝わっています。
これらは単なる迷信ではなく、「他者への思いやり」や「身の安全」を守るための先人の知恵でもあります。現代でも知っておきたい、日本人の心のしきたりを解説します。
「するな」のしきたり:不作法を戒め、身を守る
してはいけないといわれるしきたりは不作法をいましめ、トラブルを未然に防ぐための合理的な理由があります。
日常・住まいの禁忌
- 敷居や畳の縁を踏んではいけない
敷居は家の「境界」であり、踏むことは家主への無礼とされました。
また、畳の縁には家紋が入っていることもあり、そこを踏まないのは相手への敬意の表れです。 - 夜に爪を切ってはいけない
昔は照明が暗く、夜に刃物を使うのは怪我の元でした。
「夜に爪(世詰め)=早死にする」という語呂合わせで、夜の危険を強く戒めたものです。 - 夜に口笛を吹いてはいけない
夜間に音を出すのは近所迷惑。また、かつて口笛は「霊や泥棒を呼び寄せる信号」とも考えられていたため、防犯の意味も含まれていました。 - 合わせ鏡をしてはいけない
霊道の入り口とされる理由や、風水上のNGとされるため。 - 「逆さ事」を日常で行わない
逆さ屏風や逆さ水など、葬儀の作法を日常で行うことは死を連想させ、不吉とされます。 - 北枕を避ける
亡くなった方の向きとされるためですが、現代では健康法(頭寒足熱)として取り入れる説もあります。
季節・行事の禁忌
- 【正月】掃除をしてはいけない
せっかく来た歳神様を掃き出してしまうため。 - 【正月】包丁を使ってはいけない
「縁を切る」のを避けるため。また、神様をお迎えする間は炊事を休むという考えもあります。 - 【正月】煮炊きをしてはいけない
灰汁(あく)を出さないため。「悪(あく)を出す」を嫌うためです。 - 【正月】喧嘩をしてはいけない
その1年が争い事の絶えない年になってしまうのを防ぐため。 - 【お盆】殺生(せっしょう)をしてはいけない
釣りや虫取りなど、命を奪う行為は慎みます。 - 【お盆】海や川へ行ってはいけない
水難事故防止や「霊に足を引っ張られる」という戒めです。 - 【お見舞い】鉢植えを贈ってはいけない
「根付く=寝付く」に繋がるため。
「見るな」のしきたり:神秘性と礼節を守る
覗き見ること、さらけ出すことを禁じるものです。
- 秘仏(ひぶつ)と神聖な力
寺院の「秘仏」などは、僧侶ですら見ることが禁じられる場合があります。
これは、「神聖なものは人の目にさらされると、その力が損なわれる」という考えに基づいています。 - 他人の境界を覗かない
「親しき仲にも礼儀あり」という言葉通り、土足で他人のプライバシーに踏み込まない、節度を守るという日本人の美徳がこの「見るな」に集約されています。 - 恩返しの作業を見てはいけない
『鶴の恩返し』のように、神秘的な力が働いている最中は、見てしまうことでその力が失われます。
「言うな」のしきたり:言霊(ことだま)と忌み言葉
日本には「言葉に出したことは現実になる」という言霊思想があります。そのため、縁起の悪い言葉を避け、別の言葉に言い換える工夫がなされてきました。
忌み言葉(いみことば)の言い換え例
不吉な連想を避けるため、ポジティブな言葉に変換します。
- スルメ
「する(博打などで負ける)」を嫌い、「当たりめ」と言い換える。 - 梨(なし)
「無し」を嫌い、「有りの実(ありのみ)」と呼ぶ。 - 結婚式の「帰る・去る」
離別を連想させるため、「お開き」などの言葉を使います。
冠婚葬祭・お見舞いのタブー
- 結婚式での重ね言葉
「重ね重ね」「たびたび」は再婚を連想させるためNG。 - 葬儀での重ね言葉
「いよいよ」「ますます」は不幸が続くことを連想させるためNG。 - お見舞いの花
シクラメン(死・苦)、菊(葬儀用)は言葉の響きや用途から禁忌とされます。
忌み数(いみかず)と縁起の良い数
- 避けるべき数:
「4(死)」や「9(苦)」。お見舞いの金額やホテルの部屋番号で避けられます。 - 割り切れる数:
ご祝儀では「別れ」を連想させる偶数は避け、奇数が好まれます。 - 縁起の良い数:
「3(満つ)」や、末広がりの「8」が代表的です。
ハレとケとは? 「ハレ」と「ケ」の行事 一覧表
ハレとケの意味祭りや年中行事、冠婚葬祭などの非日常を「ハレ(晴)の日」、それ以外の日常を「ケ(褻)の日」といいました。ハレの日には、食べものや着るものも普段とは・・・
ちょこっとブックマーク




コメント Comments
コメント一覧
コメントはありません。
トラックバックURL
https://good-luck-day.com/taboo/trackback/