二十八宿

二十八宿とは

二十八宿(にじゅうはっしゅく)とは、古代中国で天球を28のエリア(星宿)に分け、月が約27.3日(恒星月)で天球を一周する間に一晩ずつこの宿を移動すると考えたものです。

これにより、二十八宿は暦や占いに活用され、季節の移り変わりや吉凶判断にも用いられました。

四神と二十八宿

二十八宿は、東西南北の四方向を司る四神(青龍・白虎・朱雀・玄武)に分類され、それぞれ七つの宿が対応しています。

東方青龍(春)

蒼竜
  • 角宿(かく): 春の始まり。新しいことを始めるのに吉。
  • 亢宿(こう): 万物が成長する時期。勢いが増すが慎重さも必要。
  • 氐宿(てい): 春から夏への移行期。生命力が強まる。
  • 房宿(ぼう): 夏の始まり。暑さが増す時期。
  • 心宿(しん): 夏の盛り。心身の疲れに注意。
  • 尾宿(び): 夏から秋への移行期。収穫期が近づく。
  • 箕宿(き): 秋の収穫期。次の年への準備を始める時期。

北方玄武(冬)

玄武
  • 斗宿(と): 冬の始まり。休息や内省の時間。
  • 牛宿(ぎゅう): 厳冬。慎重な行動が求められる。
  • 女宿(じょ): 冬の最も厳しい時期。静かに過ごすのが吉。
  • 虚宿(きょ): 春に向けた準備の時期。
  • 危宿(き): 変化の兆し。注意深い行動が必要。
  • 室宿(しつ): 春が訪れ、新しい生命が芽生える時期。
  • 壁宿(へき): 成長の時期。

西方白虎(秋)

白虎
  • 奎宿(けい): 収穫を祝い、感謝する時期。
  • 婁宿(ろう): 秋から冬への移行期。静かに備える。
  • 胃宿(い): 冬の始まり。備蓄を大切に。
  • 昴宿(ぼう): 冬の寒さが厳しくなる時期。
  • 畢宿(ひつ): 冬の終わり。新しい生命が芽生える準備。
  • 觜宿(し): 春の訪れを告げる時期。
  • 参宿(しん): 春が深まり、生命力がみなぎる時期。

南方朱雀(夏)

朱雀
  • 井宿(せい): 夏の始まり。暑さが増す。
  • 鬼宿(き): 夏の盛り。災厄に注意。
  • 柳宿(りゅう): 秋へ移行。暑さが和らぐ。
  • 星宿(せい): 収穫期。感謝を捧げる時期。
  • 張宿(ちょう): 秋から冬への移行期。冬支度の時期。
  • 翼宿(よく): 冬の始まり。備蓄を活用する。
  • 軫宿(しん): 冬の終わり。新しい芽吹きの準備。

なぜ春夏秋冬の順番ではないのか?

二十八宿は 春夏秋冬の順番 ではなく、 東(青龍)→北(玄武)→西(白虎)→南(朱雀) の順番になっています。その理由には、以下のような古代中国の天文学や方位の概念が関係しています。

理由1:方位と天の四神の影響

二十八宿は、天球を四つの方位(東西南北)に分け、それぞれを守護する神獣(青龍・白虎・朱雀・玄武)に割り当てています。この四方位の並び順が、古代中国の考え方に基づいているため、春夏秋冬の順番とは異なるのです。

  • 東方青龍(春)
  • 北方玄武(冬)
  • 西方白虎(秋)
  • 南方朱雀(夏)

そのため、 春→冬→秋→夏 という順番になります。

理由2:天文学的な配置

二十八宿は、天球を28の星座(宿)に分けたものであり、それらが天の赤道(黄道)上を移動する月と関連づけられています。天体観測の都合上、古代中国の星図では 東→北→西→南 という方位の並びで整理されており、それがそのまま二十八宿の配列にも反映されています。

理由3:古代の風水や五行思想

中国の風水や五行思想において、 東→北→西→南 の順番は、特定のエネルギーの流れ(気の流れ)と関係しています。この順番は、都市設計や宮廷の配置などにも影響を与えており、天文だけでなく文化全体に根付いています。

二十八宿が生まれた背景

  • 月の運行を把握するため
    古代の人々は、月の動きを最も身近な天体運行として観察し、その周期を細かく分類しました。
  • 季節の変化と結びつけるため
    二十八宿は、農耕や生活に役立てるため、季節の変化と関連付けられました。
  • 占いや暦に活用
    吉凶判断や暦の作成にも用いられ、社会や文化に影響を与えました。