犯土(ぼんど)とは?
犯土(ぼんど・つち)は、陰陽道に基づく選日の一つで、土を司る神様「土公神(どこうしん)」が土中や本宮に留まる期間を指します。
この期間中は、土を汚す行為を避けるべきとされ、穴掘りや種まき、伐採、土木工事、地鎮祭などの土に関わる活動が禁じられています。
犯土は、「土」「椎」「槌」とも書き、いずれも「つち」と読みます。
犯土の期間と種類
犯土は15日間に分けられ、前半と後半に「大犯土」と「小犯土」が設定されています。その間には特別な日が存在します。
大犯土(おおづち・大土)
干支で庚午(7番目)から丙子(13番目)までの7日間。
間日(まび)
丁丑(14番目)の1日。この日は犯土の期間に含まれない、または禁忌が適用されません。
小犯土(こづち・小土)
戊寅(15番目)から甲申(21番目)までの7日間。
犯土の禁忌
犯土の期間中に凶とされる行為には以下が含まれます。
- 土を掘る(穴掘り・井戸掘り)
- 種まきや伐採
- 建墓や土木工事
- 地鎮祭などの建築儀礼
犯土の由来
犯土は古くから伝わる日本独自の陰陽道に由来し、平安時代の公卿・藤原実資の日記「小右記」(10世紀)にも記されています。土公神が関与する期間として、人々は土に関する行動を慎むことで、自然と調和した生活を目指してきました。この考え方は土用にも共通する要素があります。
犯土にも土用にも科学的な根拠があるわけではありません。 現代社会では、暦を重視する人が減り、犯土や土用を気にしない人も増えています。一方で、日本の伝統文化の一環として、建築業や林業など、土や木に関わる仕事に従事する人々を中心に、今でも重視されています。