犯土・大犯土・小犯土とは?

犯土(つち・ぼんど)とは?

犯土(つち・ぼんど)とは、陰陽道の選日の一つで、土を司る神「土公神(どこうしん・どくじん・どくしん)」が地中に留まる期間を指します。犯土は、「土」「椎」「槌」とも書き、いずれも「つち」と読みます。

犯土の期間にしてはいけないこと

犯土の期間中は、
🔹 土を掘る
🔹 建築工事を行う
🔹 種まきをする

などの土を動かす行為が忌むべきものとされてきました。この間に土を動かすと、土公神の怒りを買い、災いを招くと信じられてきました。

犯土の期間と種類

犯土は15日間の周期で発生し、大犯土・小犯土・間日の3つの区分に分かれます。犯土はそれぞれ7日間ずつ続きます。

大犯土(おおつち)

庚午(7日目)から丙子(13日目)までの7日間
この期間は、土を動かすことが特に忌まれるとされています。

間日(まび)

丁丑(14日目)
この日は例外的に、土に関する作業を行っても問題ない日とされます。

小犯土(こつち)

戊寅(15日目)から甲申(21日目)までの7日間
大犯土ほどの強い禁忌はありませんが、それでも土に関する作業は避けるべきとされています。

犯土の由来と意義

犯土の概念は、日本の陰陽道に由来し、平安時代の公卿・藤原実資の日記『小右記(しょうゆうき)』にも記録されています。禁忌に注目しがちですが、本来犯土の考え方には、
🔹 土を大切にすること
🔹 農作業や建築作業を行う時期の調整
🔹 自然との調和を図ること
といった意味が込められています。

現代では、暦を意識しない人も増えていますが、建築業界や林業の関係者など、一部の職業では今でも尊重されている風習のひとつです。

土用と犯土の違い

土を動かすことを避ける期間ですが、私たちの暮らしに根付いた暦としては、「土用(どよう)」の方がなじみ深いものです。土用と犯土の違いは以下の通りです。

犯土土用
由来土公神という土の神様が土の中にいる期間陰陽五行思想に基づき、土の気が盛んになる期間。土公神も関係する
期間暦上の干支によって定められる(大犯土・小犯土)立春、立夏、立秋、立冬の直前約18日間
回数年によって変動年4回
特徴土を犯すこと全般を忌む。特に建築儀礼には凶日土を動かす作業を避ける。特に夏の土用がよく知られる
犯土と土用の違い